【Q&A】NY Bar合格体験記(全体〜択一編)

はじめに

こんにちは、「Lawyer’s INFO」「弁護士による弁護士のためのキャリアマガジン」を運営している弁護士の岩崎です。

2022年2月末に行われたNY barに合格することができたので、そのときの体験談や疑問に思ったポイントなどをまとめていきます。

かなり長いですが、「自分が受験生時代に知りたかったこと」をQ&A形式でできるだけ具体的に書いたので、気になるポイントだけでも見てみてください。

この体験記の目的

NY Barについては、すでに先人達によりたくさんの合格体験記が残されており、勉強方法についてはある程度確立されたものがあります。

私自身大変参考にさせていただいたんですが、一方で、合格体験記を書く方は大体優秀なので、私のように
・そもそも英語が大してできない
・LL.M.の授業もそんなに真面目に受けていない
・留学中に一番学んだのはDeepLとGrammarlyの使い方
みたいな人間にとっては、
「合格体験記書いてる方々が優秀すぎて、合格体験記の通りに勉強したとしても自分が合格するのか分からない。」
という不安が常につきまとっていました。

そこで、この体験記では、ダメ受験生だった私の実態を赤裸々に記録することにより、私のように
「合格体験記の著者が優秀すぎて自分にそのまま当てはめて良いかわからない!」
と不安を覚える方の参考にしていただければと思っています。

*さすがに公開するのは憚られるんですが、私がNY Barの対策を始めた日(63日前)から、毎日何時間、どんなことを勉強したかを記録したスプレッドシートもあるので、もし欲しい方がいれば以下のLINEからご連絡ください。

https://lin.ee/LKrMwHu

結果

先に私の結果をご報告すると、

266点が合格最低点のところ、268点(択一144.5点、論文+パフォーマンステスト123.5点)

という文字通りギリギリで合格という結果でした。
*NY Barの合格発表では、点数が開示されるのは択一のみで、論文とパフォーマンステストの点数はわかりません。日本の司法試験のように、科目ごとの点数も開示されません。

本当はもっと余裕をもって合格して受験生に希望を与えるつもりだったんですが、かなりギリギリでの合格だったので、この体験記は
「このくらい勉強すれば、大して英語もできず授業も真面目に受けていなかった非優秀層でもギリギリで合格できるんだな」
というラインを把握するためにお使いください。

私のスペックなど

この体験記は自分のことを「優秀層」だと思っていない人のために書いているので、少しだけ、私のスペックを開示しておきます。

(英語力)
TOEFLの点数:93点
留学先:UCLA
留学中の授業態度:不真面目。DeepLとGrammarlyを駆使して授業を切り抜けるタイプ
留学以前の海外経験:なし

(日本での経歴)
早稲田大学
早稲田大学ロースクール
森・濱田松本法律事務所
かなめ総合法律事務所

(総評)
少なくともNY Barを受ける母集団の中では、受験エリートでもなければ英語力が高いわけでもありません。
新卒で四大事務所に入っているので、実は優秀層だったと思う人もいるかもしれませんが、ロースクールの成績も普通だったし(サマークラークでは四大すべてに落とされたくらいです)、司法試験の順位も真ん中辺(2000人合格で900番くらい)でした。

本編

以下、私がNY Barに関して知りたかったことをQ&A方式でまとめていきます。
めちゃめちゃ具体的なことまで書いているので非常に長いです。気になるところだけかいつまんで読んでください。

Q&A(NY Bar 全体編)

Q1:NY Barってどんな試験ですか?

年2回(7月末と2月末)あるNY州の司法試験で、
・択一(MBE):配点50%
・論文(MEE):配点30%
・パフォーマンステスト(MPT):配点20%
の3つから構成されます。
400点満点で266点以上で合格になります。
*各科目の詳細については後述します。


Q2:NY Bar本番のスケジュールはどんな感じですか?

1日目(午前):パフォーマンステスト=MPT(3時間で2問)
1日目(午後):論文=MEE(3時間で6問)
2日目(午前):択一=MBE(3時間で100問)
2日目(午後):択一=MBE(3時間で100問)
というスケジュールです。
2日間なので日本の司法試験よりは短いですが、なれない英語で試験を受けるので体力的にはかなりしんどいです。

Q3:パフォーマンステストってどんな試験ですか?

「新人弁護士がパートナーから頼まれて事案の分析メモを作る」といったよくある弁護士業務を想定したテストです。
必要な法律や判例の情報は資料として提供されるので、事前に知識をインプットする必要はない一方、1問あたり90分で2−30ページの資料を読んでメモを作成する必要があるので、とにかく時間との戦いです。
事前知識は不要なので、多くの人が直前期に2−3問時間を測って解くだけで本番を迎えることになります。

Q4:合格するためのオススメの戦略はどんな感じですか?

多くの先人達の教えのとおり、「択一で点数を稼いで論文は守る」という戦略がオススメです。
もう少し具体的には、「択一の正答率が70%あれば論文でかなり失敗しても合格する」と言われているので、択一の正答率70%が見えてくるまでは択一メインで勉強し、その後論文メインに切り替える、という感じが良いと思います。
*できれば論文メインで勉強する期間が1ヶ月以上あると望ましいです。私は択一対策が遅れたことにより、論文メインの期間が3週間しかとれず、その3週間も結局半分くらいは択一の勉強をしているという状態でした。その結果、論文対策が不十分になり、本番の点数も明らかに論文が低かったです。

Q5:なぜ択一を重視しなければいけないんですか?

・択一の配点が一番高い(50%)
・択一科目は論文科目でもあるので、択一対策は論文対策にもなる(=論文科目の中には択一科目になっていない科目もたくさんある。)
・日本人の英語力的に、論文だと高得点は望めない可能性が高い
・論文の採点基準がよくわからないので、論文で稼ぐ戦略はリスクが高い
あたりが主な理由です。

Q6:勉強時間はどのくらい必要ですか?

ちまたでは500時間くらい勉強した方が良いと言われたりしていますが、正直そこまでできる人は少ないと思います。
私の勉強時間は合計400時間位でした。

様々な合格体験記や他の受験生からの話を総合すると、日本の司法試験に合格している人であれば、

英語力がある人→350時間くらいで合格ラインに到達
英語力に自信のない人→400時間くらいで合格ラインに到達

という印象です。
英語力に自信がない人でも450時間程度勉強すればある程度余裕を持って合格ラインを超えられると思うので、500時間というのは「ほとんどの人が合格できる理想的な勉強時間」だと思って良いと思います。

Q7:本番の何ヶ月前から勉強を開始したら良いですか?

1日平均7時間程度安定して勉強できる人であれば、2ヶ月前(60日)から開始しても400時間は楽に超えるので間に合うと思います。
ただ、勉強を開始した当初は1日3−4時間勉強するのが精一杯だったり、体調を崩して勉強時間が伸びない日もあったりすると思うので、2ヶ月前からだとちょっとギリギリかなという印象です。
私が本格的に勉強を開始したのは63日前からですが、結構ギリギリでした。
特に論文の対策が間に合わず、「せめてあと1週間あれば!」という感覚だったので、できれば3ヶ月前、せめて2.5ヶ月(75日)前から勉強を開始するのが良いと思います。

Q8:Barbriなど、予備校の利用は必要ですか?

必要ないと思います。
そもそも英語力が足りないと講義を理解するのにも時間がかかってしまうので、後述する日本人ノートをメイン教材として勉強する方が効率的です。

NY Barは本当にあっという間に本番を迎えてしまうので、(特に勉強量で勝負できないタイプは)手をつける教材は可能な限り絞るべきです。

日本の司法試験もそうですが、試験対策は「やった方が良いこと」に手を出すとあっという間に時間が経ち「やらなきゃいけないこと」が終わらないまま本番を迎えてしまいがちなので、まず、「やらなきゃいけないこと」をやり、それを終えてから「やった方が良いこと」に取り掛かるという姿勢が重要だと思います。

Barbriなど予備校の講義は「やった方が良いこと」なので、まずは「やらなきゃいけないこと(=択一と論文の過去問+日本人ノート)」をやるのがオススメです。

Q&A(択一=MBE対策編)

Q9:択一の科目と各科目の特徴を教えてください!

不動産(real property)
内容も日本法と概念レベルから違って難しい上に問題文も長い。日本人受験生の鬼門①

民訴(civil procedure)
とにかく日本法と概念レベルから違っていてキツい。問題文は比較的短いが、難易度は不動産以上かもしれない。日本人受験生の鬼門②

憲法(constitution)
比較的問題文が長め。日本法と違う点も多いが同じ点もあり、必修で授業を受けているので授業をしっかり受けていた人はその知識を活かせる。

契約(contract)
問題文が長めで日本法とかなり違う。ただ、必修科目なので、授業をちゃんと受けていた人はその知識を使える。

証拠法(evidence)
日本法でいう刑訴。民事訴訟にも適用されるなど日本法との違いも大きいが、伝聞など日本法と通じる点も多い。

刑事(criminal law & criminal procedure)
刑法と刑訴。なぜか1科目にまとめられているが、日本法の知識が活かせるしとっつきやすい。

不法行為(Torts)
日本法の知識をある程度活かせてとっつきやすい。

*上から私が難しいと思った順に並べています。といっても、不動産と民訴がダントツで難しく、他は似たようなもの(ちょっと刑事と不法行為がとっつきやすいかな)くらいの感覚でした。

Q10:択一(MBE)は過去問を2000問解くべきって本当ですか?

合格体験記でよく目安としてあげられている数字ですが、2000問解いている人は少数派だと思います。
そもそも、1問あたりどのくらい復習するかにもよるので、あまり問題数にこだわる意味はありません。

「問題を解きながら日本人ノートを読み返したり書き込んだりしていく」
というそれなりに復習に時間をかけるスタイルであれば、1000問程度でも正答率70%(多くの日本人受験生の目標ライン)に到達すると思います。

実際、私がセルフ模試で70%を超えた時点で解いた問題数は780問でした。
この時は既知の問題が何問かあったこともあり実力的には70%には届いていなかったと思いますが、1000問解けば70%行く人は全然いるし、1500問解けば大半の人が安定して70%を超えるんじゃないかと思います。
2000問解いたら80%が見えてくるレベルかと。

Q11:択一対策ではどんな教材が必要ですか?

①偉大なる先人達から受け継がれている日本人ノート

②EmanuelのStrategies & Tactics for the MBE (Bar Review) 7th Editionという問題集(67.57ドル)
https://amzn.to/3mz39I1

③AdaptiBarという問題集アプリ(395ドル)
https://www.adaptibar.com/

が三種の神器です。
EmanuelもAdaptibarも、過去問+解説を掲載している問題集なので、これを解きながら日本人ノートを読み込んでいくというのが基本戦略になります。
*民訴(=Civil Procedure)については、最近択一科目に加わったので、EmanuelもAdaptibarも、オリジナル問題が大半です。

Q12:Emanuelの2はやるべきですか?

周りで使っている人がいなかったのと、合格体験記でも使っている人がほとんどいなかったので、必要ないと判断してやりませんでした。必須ではないと思います。
もっとも、Emanuel2のAmazonページ (https://amzn.to/3mjrIsd
によると、民訴以外は過去問を収録しているようなので、Adaptibarに入る前にEmanuel2をやってもいいかもしれません。
特に、各科目が項目別で並んでいるようなので、「日本人ノートを読む→問題を解く」というやり方をしている人にとっては使いやすいかもしれません。
*Emanuel1やAaptibarは科目は選択できるものの、科目内ではランダムに出題されるので、例えば、「憲法の統治の範囲の問題だけやりたい」といった使い方ができません。

Q13:Emanuelがとても重いんですが…

紙でやりたい人は科目別に切り離すと良いと思います。
私はスマホやタブレットでも勉強したいと思っていたので、Kindle版を買いました。

Kindle版は、ダブルタップで直ぐに単語の日本語訳を出せたり、タブレットで問題を開きながらPCで解説を見れたりと便利でした。
*Emanuelは1問ごとに問題と解説が並んでいるのではなく、科目ごとに問題→解説の順で並んでいる(=問題から解説までが遠い)ので、PCとタブレットを併用することでページをめくる手間が省けたのは良かったです。
また、スマホなどで勉強できると、ご飯を待っている時間などちょっとした空き時間で勉強できるので大変重宝しました。
特にこだわりがない人にはKindle版をオススメします。

Q14:日本人ノートってなんですか?

偉大なる先輩方が作成してくれた、各科目100Pくらいのまとめノートです。元になった英文と、それに対する日本語訳が(全てではありませんが)要所要所でついています。

Q15:日本人ノートがわかりにくい気がするんですが…?他にもっと良い教材はないんでしょうか?

日本人ノートを疑ってはいけません。
日本人ノートがイマイチだと感じた場合、まずは自分の勉強が足りていない可能性を疑うべきです。

私も、「日本人ノートなのに日本語が少ない!」とか「なんか適当に翻訳を貼り付けただけっぽい場所があって読みにくい!」とか、偉大なる先人の努力にFree rideしている身にもかかわらず、色々な不満を述べたこともありました。
しかし、勉強が進めば進むほど、「こんなコンパクトなのに必要な情報がほぼ全て網羅されてる…!すごい!」ってなりました。
もちろん、勉強しながら書き込みしていき、自分なりの「日本人ノート」を作っていく、という使い方をすべきですが、その素材としては日本人ノートがダントツでベストだと思います。

Q16:Abitusってどうなんですか?

Abitusは、主に米国CPAの対策講座を出している予備校ですが、カリフォルニア州の司法試験向け講座をだしていることがあります(今はHPから確認できないので、既に新規募集は終了しているかもしれません。)
https://www.abitus.co.jp/

カリフォルニア州のBar対策用の教材ではありますが、NY Barとほとんど科目は一緒なので、NY Bar対策にも使えます。
すべてに日本語訳がついているので、とっつきやすさはありますが、
・カリフォルニア州独自の記載があってそこを判別するのがめんどう
・書き込みしにくい
・意外と日本語訳が読みにくい
などの点から、日本人ノートの方が使い勝手が良いと思いました。

Abitusを持っている人は、日本人ノートをメインで使いながら、「わからないところだけAbitusの該当箇所を読んでみる」という辞書的な使い方が良いと思います。
私は、一度だけ、MEE(論文)科目で意味がわからない点についてAbitusを読んだら理解できたことがありましたが、それ以外では使いませんでした。
原則として、2ヶ月程度でこなせる教材の量には限りがあるので、使う教材はできる限り絞った方が良いと思います。

Q17:択一の問題数の数え方を教えてください。

合格者がよく択一対策で解いた問題数に言及しますが、これは、Emanuel、AdaptiBar、Barbri、Themisなどで解いた問題数の合計を言っていることが通常です。

これらの問題集は、問題の多くがNY Barの過去問なので、EmanuelとAdaptibarなど複数の問題集を使う場合、重複する問題も発生します。
その場合でも、どれが重複しているか分からないので、それぞれ独立した1問としてカウントします(=AdaptibarとEmanuelで同じ問題が出てきたとしても2問としてカウントします)。

合格体験記で「延べ」とか「重複あり」と書いてあるのはそういう意味です。
「今日やって間違えた問題を明日復習したら2問とカウントする」というわけではありません。

Q18:EmanuelとAdaptiBarどちらを先に解くべきですか?

断然Emanuelです。
Emanuelを先に解いて、その後AdaptiBarを使うことをオススメします。
理由は簡単で、解説がEmanuelの方が圧倒的に分かりやすいからです。

私自身、
「Emanuelの方が解説の質が良いっていうけど、どうせ日本人ノートを見返すからAdaptiBarだけで良いでしょ」
と思って最初AdaptiBarに挑んだんですが、解説を読んでも日本人ノートを読んでもわからず、逆に時間がかかってしまい、結局Emanuelをやることになりました。

やっぱり多くの先人達が言っていることには理由があるので、変に自分の色を出さず先人の教えに従った方が良い場合が多いです。

Q19:Emanuelの解説は何が良いんですか?

Emanuelの解説には、その問題を解くのに必要な知識(条文の引用も含む)と思考過程が示されているので、解説を読んだらその問題を「理解できる」というのがAdaptiBarとの一番の違いです。

逆に、Adaptibarの解説は単なる情報の羅列という感じで、条文も引用されていません。
正解した問題の知識をさらっと確認するには良いんですが、間違えた問題の解説を読んで
「なるほど。そういうことか!」
みたいな体験はほぼありませんでした。

Q20:Emanuelの解説は全部読まないとダメですか?

Emanuelでは、最初に正解の選択肢の解説があり、その後に誤りの肢の解説があるんですが、正解の肢の解説だけ読めば理解できることがほとんどでした。
なので、正解の肢の解説だけを読むことが多かったです。
自分が間違えて選んだ肢の解説も読むことがありましたが、全ての選択肢の解説を読んだことはほとんどありません。

Q21:Emanuelの「A.M. Exam」「P.M. Exam」「OPE-4」はやるべきですか?

合格体験記によると、「A.M. Exam」と「P.M. Exam」はEmanuelのオリジナル問題で、本番と傾向が違うようだったのでやりませんでした。
OPE-4については、NCBE(司法試験委員のようなもの)が出している公式問題なので、試験3週間前くらいに友人達と時間(3時間)を測って解きました。
時間配分や集中力を試すためにも「3時間で100問と解く」という経験は必要なので、OPE-4は模試として使うと良いと思います。
*OPE-4はAdaptibarにも収録されているので、OPE-4を模試として使う場合、AdaptiBarをやる際に「OPE-4を除く」というボタンにチェックしておいた方が良いです。 私はこれを忘れたため、せっかく模試としてOPE-4を解いたのに、既にAdaptiBarで解いた問題が何個も出てきてしまい、自分の実力が測れませんでした。

Q22:民訴は過去問が少ないって聞いたんですが?

民訴は最近択一科目になったので、過去問が少ないです。
Emanuelの場合は1−30問までが過去問、31問以降がオリジナル問題で、AdaptiBarも大半がオリジナル問題です。その他は、NCBEが出している公式のサンプル問題が10問程度(だったかな?)あるだけです。

Q23:民訴のオリジナル問題はやらなくて良いんですか?

Emanuelのオリジナル問題は、問題文がかなり長く、解く負担が大きい割に過去問の傾向と違うのでやりませんでした。
一方、AdaptiBarのオリジナル問題は、そこまで問題文が長くなく、過去問との乖離もEmanuelほどなさそうだったので、5-60問解きました。
個人的には、さすがに過去問だけだと問題数が少ないので、過去問が終わったらAdaptiBarのオリジナル問題を解くのが良いと思います。

Q24:択一は具体的にどうやって勉強するんですか?

「過去問を解きながら、日本人ノートを読み込む」
これに尽きます。
私は、早い段階で日本人ノートを通読することは諦めたので、問題演習をしながら日本人ノートを読んでいくスタイルにしていました。
具体的には、
①EmanuelやAdaptiBarの問題を解く
②解説をその問題が理解できる程度に読む(全部は読まない)
③日本人ノートの該当箇所を読む
④間違ったポイントや理解が不十分だったポイントを日本人ノートに赤字で書き込むor既に日本人ノートに記載があった場合は、日本人ノートの該当箇所を赤字にする。
⑤翌日、日本人ノートの赤字部分を読み返す。
という形でやっていました。
こうすると、直前期に日本人ノートの赤字部分を見直すことで自分の弱点部分を総ざらいできるのでオススメです。

Q25:間違った問題については翌日解き直したりしましたか?

上述のとおり、間違った問題については日本人ノートに書き込んでいたので、翌日は日本人ノートの赤字部分を見直すだけで、解き直しはしませんでした。
理由としては、
➢ 直前期用のまとめ教材を作りたかったので、なるべく間違えた問題は日本人ノートに集約したかった。
➢ 英語で問題を解き直すのは時間がかかる割に知識の定着率が悪く、作業としてもしんどいので、日本語でぱぱっと復習したかった。
➢ 翌日解き直しただけでは本番までに絶対忘れると思ったので、間違えた問題が自動的に何度も目に入るような形にしたかった(日本人ノートの赤字部分は翌日復習しても黒字に戻さず、翌々日以降にもまた読むようにした。)
といった感じです。
ただ、直前期になると赤字部分がかなり増えて、赤字部分を読むだけでも1科目1時間以上かかるようになってしまったので、直前期だけは、間違えた問題を翌日解き直すスタイルに変えていました。
その代わり、試験の3日前くらいからは新たな問題を解かず、日本人ノートの赤字部分を一気に読んで総復習しました。

Q26:最初に日本人ノートを通読すべきですか?

とりあえず日本人ノートを数ページ読んでみて、苦にならない人は最初から通読しても良いと思います。
ただ、多くの人にとって「日本人ノートの通読」はかなりしんどい作業なので、あまりインプット効率は良くないと思います。
実際、合格体験記や周りの友人でも、「日本人ノートを通読しただけでは全然頭に残らなかったので、アウトプットと一緒にやるべきだった」という声が多かったです。

私は、日本人ノートの読み込みは早々に諦め、まず問題を解いて、日本人ノートの該当箇所をちょっと広めに(5-10p程度)読むというやり方にしていました。
このやり方でも大体10-20問くらいでその科目の全体像が掴めるので、通読が辛い人にはオススメです。

なお、このやり方だと日本人ノートで読んでない箇所も発生しますが、
「まあ問題で出てきてないなら読む必要ないし、必要そうだったら2周目あたりで通読しよう」
くらいに考えていました。
実際、2周目以降で通読した科目もありますが、結果一度も通読していない科目も半分くらいあったので、通読が必須という感覚はありません。

Q27:Barbriの択一模試は受ける必要がありますか?

特にないと思います。
模試の目的は自分の勉強の進捗状況を測ることにありますが、自分で時間を測ってOPE-4(NCBEが作った公式模試のようなもの)を解くことで代替できます。
私は、試験の3週間くらい前に、友人達と集まって3時間でOPE-4(100問)を解くことでBarbri模試の代わりにしました。
実際の試験は午前3時間、午後3時間の合計6時間なので、それを体感するためには模試を受けた方が良いのかもしれませんが、直前期の1日は結構貴重なので、そこまでする必要はない(し余裕もない)と判断しました。
周りの受験生でも受けていない人の方が多かった印象です。

Q28:OPE-4の問題は復習しましたか?
間違えた問題だけ復習し、得た知識を日本人ノートに書き込みました。

Q29:択一が時間通りに(=1問1分48秒で)解き終わる気がしないんですが!?

誰もが通る道です。
解いた問題数が増え、知識がついてくると少しずつ回答スピードも上がるので、最初は時間を気にする必要はありません。
私も最初は1問5分以上かかることがザラでしたが、正答率70%が見えてきたあたりからギリギリ時間通りに解けるようになりました。
また、問題文が長い問題と短い問題の差が激しいので、1問1分48秒にこだわる必要もありません。
100問を3時間で終えられれば良いので、不動産など問題の長い科目は1問3分かけ、短い問題は1分で解くなどのメリハリが重要です。
私自信は、10問18分というのを目安にして、10問ごとに目標タイムからどのくらい遅れているか/巻いているかを意識していました。

Q30:早く問題を解くコツはありますか?

「ある程度自信を持って選べる選択肢を見つけたら、他の肢は読まずに次に進む」
「悩む問題には深入りせず、時間が余ったら戻って来られるように印を付けて適当に選ぶ。」
ということを意識していました。
英語を読むスピードが数ヶ月で劇的に伸びることはないので、「読む英文の量を減らす」ことが大事だと思います。

Q31:民訴がどうしても理解できないんですが!

樋口先生の「アメリカ民事手続法」という日本語の本があるので、それを読むと概要が掴めるかもです。
もっとも、私は時間がなかったので、日本人ノートと心中するつもりで、樋口先生の本はほとんど読みませんでした。
https://amzn.to/3xsP7Op

Q32:AdaptiBarの問題文や解説はコピペできますか?

ロックがかかっているようでできませんでした。ただ、GoogleChromeのejoyという拡張機能を使うとコピペできるようになるので、どうしてもコピペしたい人はそれを試してみてください。
Netflixを日英二重字幕にして見るために使っていた拡張機能なんですが、そもそもとても便利なのでオススメです。

NETFLIXやYoututeでChrome拡張機能の「eJOY English」を使って英語を勉強しよう!

Q33:直前期なのにAdaptiBarの正答率が上がらないどころかむしろ下がってるんですが!?

AdaptiBarの出題システムが原因である可能性が高いので落ち着いてください。
AdaptiBarは、効率的に学習を進められるよう、各受験生の正答率や学習の進み具合に合わせて出題分野が決まるシステムを採用しています。
その結果、ある程度学習が進むと、苦手分野の出題が増えたり、正答率の低い出題が増えたりするようです。
私自信直前期に明らかに正答率が下がって非常にあせったのですが、周りでも複数同じ悩みを抱えている人がいたことが分かり安心しました。

Q34:その他、気をつけるべき点はありますか?

特に択一では、英語ネイティブ組と非ネイティブ組でかなり回答スピードに差があります。
その結果、隣の人が30分前に退出したりしますが、気にしないでください。
時間ギリギリでも正答率が目標に届けば良いのです。
また、本番は耳栓を持ち込めるので、雑音が気になる人は耳栓を持っていくと良いと思います。

まとめ

以上、Q&A全体〜択一編でした!
まとめると、「日本人ノートを信じてEmanuel、AdaptiBarを解き続けろ」ということに尽きます。

論文編はまた別の記事にする予定なので、もう少しお待ちください。

ここまでの内容に質問がある方、あるいは私がNY Bar対策をしていた63日間の記録(勉強時間、勉強内容など)を記録したスプレッドシートが欲しいという方は、以下のLINEからご連絡ください。
*いただいた質問をベースにこの合格体験記をより良いものにアップデートしたいので、お気軽にご質問いただけると助かります。

https://lin.ee/LKrMwHu

おねがい

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