自己紹介
こんにちは、Lawyer’s INFOを運営している弁護士の岩崎です!
森・濱田松本法律事務所入所→かなめ総合法律事務所→UCLA留学→Lawyer’s INFO株式会社創業
という経歴で、自分自身がキャリアに悩み、「この情報もっと早く知りたかった」と思うことが多かったので、現在は弁護士向け転職エージェントをしています。
無料キャリア相談も受け付けているので、「今後のキャリアどうしようかな」と考えている方は、気軽に以下からお申込みください。
*「現在転職を考えていない」という方でも大丈夫ですし、土日や夜間も対応可能です。
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弁護士の転職タイミング~「転職するなら留学後」はホント?~
今回のテーマは、「弁護士の転職タイミング」です!
特に企業法務系事務所の弁護士の場合、転職するなら「留学前」が良いのか、あるいは「留学後」に転職した方が良いのか迷う方も多いと思うので、今日はその辺を深ぼっていきたいと思います。
前提①:完璧な転職タイミングは存在しない
大前提として、「完璧なタイミング」で「満を持して」転職するのはほとんど不可能です。
転職や移籍には色々な考慮要素があります。
・現職とのハレーションを極力避けたい
・家族やパートナーとの関係でどのタイミングが良いか
・自分の将来のキャリアビジョンに合致しているか
・転職市場の状況はどうか
・自分の希望するポジションに空きがあるか
挙げればキリがありません。
全部をクリアした状態で「満を持して」転職するなんてことは正直できません。
なので、職場を変えるという大きな意思決定のおいては、「何かしら犠牲にして『えいや』と決めるしかない」というのが現実です。
現職との関係で円満に辞めることはもちろん重要なんですが、職場にいればいるほど辞める時のハレーションは大きくなってしまうので、現職との関係を気にしすぎると一生転職できなくなります。
不必要に現職との関係を悪くすることは良くないですが、やはり、自分のキャリアは自分しか守れないので、最終的には「自分のキャリアを優先する」という決断をせざるを得ないと思っています。
前提②:「スキルが上がれば転職市場での価値が上がる」は迷信
次に、これもよくある誤解ですが「スキルが上がれば転職市場での価値が上がる」というのは割と迷信です。
弁護士は職人の世界なので、スキルが上がれば上がるほど市場価値が上がり、チャンスが増えると思っている人が多いです。
実際、私自身も「弁護士として経験を積めば積むほど市場価値が上がり、選択肢が増える」と思っていました。
一方で、自分の転職活動時も、今転職エージェントとして多くの弁護士の転職支援をしている立場からも、「なかなかそう簡単なものでもないんだな」というのが実感です。
年次が上がれば上がるほど「今何ができるか」が重視されて、「今後の伸びしろ=ポテンシャル」が評価される割合が減ってくるからです。
また、年次が上がれば報酬もポジションも上がるため、募集人数が減ってくる傾向があります。
そのため、必ずしも経験値と市場価値は相関関係があるわけではなく、「ポテンシャルが評価される若手時代の方が選択肢が多い」というケースも多いというのが現実です。
留学後に転職することのメリット・デメリット
では、具体的に弁護士が転職するなら、どのタイミング良いのでしょうか?
これまで企業法務系弁護士の転職では、「留学後に大企業のインハウスに転職する」というのが王道パターンでした。
留学後、英語力を身に付けて帰国し、「所属する事務所のパートナーになるか」、「転職して大手企業のインハウスロイヤーになるか」という流れです。
このパターンは今も多いですが、メリットもあればデメリットもあり、最近では留学前に転職する人も増えてきているので、以下でそれぞれメリット・デメリットを解説します。
留学後に転職するメリット
・英語力が上がる
残念ながら1-2年の留学で英語がペラペラになることはないですが、少なくともメンタル面では成長するので英語への抵抗感は少なくなります。
・外資系や英語案件の多いポジションなど、英語力を活かしたポジションの採用確率が上がる。
企業法務の世界では、なんだかんだ「英語ができる人」の求人はとても多いので、そういったポジションに採用される確率が上がります。
・報酬水準が上がる
英語力が必要となるポジションは通常報酬も高いので、報酬水準が上がることが期待できます。
・「留学」という人生経験ができる。
結局これが一番大きいかもしれません。単純に楽しいですし、「海外で生活する」というのは人生経験という意味でも大きな価値があります。
留学のコストが上がっているため留学そのものを躊躇する人もいるかもしれませんが、留学は人生経験としてとても良い経験ですし、留学前後で数百万円オファー金額に差が出ることもよくあるので、キャリアアップという観点からも留学は悪くないオプションです。
留学後に転職するデメリット
・びっくりするくらい貯金がなくなる
私自身は、1ドル103円の時代で、事務所から学費+αの支援があったにも関わらず、1年間のUCLA留学(with妻と犬)で1500万円以上貯金を失いました。
今は円安も激しいので、事務所からの援助があったとしても1500万円以上必要になるケースが多いと思います。
・パートナーや子供など、ライフステージの変化によりリスクを取りにくくなる。
あまり重視されませんが、留学後は「家庭の事情的にお金が必要なのに貯金がない」という状況になるので、意外とリスクを伴うチャレンジはしにくいです。
・これまでの経験を活かした職場と新たな領域にチャレンジする職場の報酬の差が大きくなる。
この結果、「新たな領域にチャレンジしたい」と思っても「これまでの経験活かせばこの条件かあ」となり、結果的に新たなチャレンジがしにくくなります。
・採用する側の目線が厳しくなる。
留学後の弁護士は、法律事務所であれば「パートナー候補」、会社であれば「管理職相当」のポジションになるため、アソシエイトやメンバーとしての採用に比べてかなり目線が厳しくなります。
・事務所を辞めにくくなる。
事務所によりますが、「留学補助を受けた場合、留学後●年以内に辞めたらそのお金を返さないといけない。」というルールがある事務所も多いです。
なので、金銭的に転職活動をしにくくなるケースもあります。
「留学中に自分のキャリアを考えよう」という人が多いんですが、留学中に「これまでとは違う分野にチャレンジしたい」と思ったとしても、上述の通り意外と留学後にキャリアチェンジをするのは難しいです。
なので、留学するにしろしないにしろ、自分のキャリアについては留学前からしっかり考えておくことをオススメします。
留学前に転職することのメリット・デメリット
では、留学前に転職することもメリット・デメリットは何でしょうか?
留学前に転職するメリット
・ポテンシャル枠で採用してもらえる可能性がある
留学前、特に3年目や4年目までであれば、まだ若手としてポテンシャルを評価してもらえる可能性が高いです。
その結果、これまで経験していなかった分野のポジションにも採用される可能性があり、いわゆる「キャリアチェンジ」が比較的容易です。
・状況的にリスクを伴う決断をし易い
留学後に比べ、「家族を養う必要がある」、「住宅ローンを抱えている」、「生活水準を落とせない」など、「リスクを取れない事情」が発生している可能性が低いので、
・多少給料は下がるが将来性のある職場に移る。
・これまでやったことのない業務にチャレンジする
といった、「多少リスクはあるけど将来の自分のためにはなる」という決断がし易いです。
・選択肢が多い
意外かもしれませんが、留学後よりも留学前の方が事実上転職先の選択肢が多い(ことが多い)です。
留学後は自分自身の状況として報酬水準を下げられなかったり、採用側も「留学後の年収高い弁護士を採用するならこれまでの経験を活かして欲しい。新たな分野にチャレンジするなら若い人を採用したい」と思うケースが多いからです。
例えば、
・ファイナンスなどの専門性の高い分野をやっていたけど、もう少し幅広い業務を経験したい。
・法律事務所でバリバリやっていたけど、ベンチャー企業のインハウスローヤーとして事業部サイドと近い距離で働きたい。
という人は、留学後だと「なかなか報酬水準のところでマッチングしない」、「自分の状況的にリスクを取りにくい」みたいなことが起きるので、留学前に転職するのがいいと思います。
感覚的には、「一定程度実務経験はあるけど、まだまだポテンシャル枠」という意味で、3年目4年目辺りが一番選択肢が広いように思います。
留学前に転職するデメリット
・留学後に比べて報酬水準が低い
当然ですが、留学後の転職に比べて留学前の報酬の方が低くなります。
最近では留学前のインハウス転職でも1000万円を超えるオファーも珍しくなくなってきましたが、それでも留学後に比べると低いことに変わりありません。
・留学を経験できなくなる可能性がある
法律事務所への移籍であれば移籍先の事務所から留学できるケースもありますが、インハウス転職の場合、留学を経験できなくなる可能性が高いです。
まとめ:留学後に転職した人が良い人、留学前に転職した人が良い人
留学後に転職した方が良い人
留学後は、様々な理由でリスクを取りにくくなる一方、報酬は高くなるというメリットもあるので、「既存のキャリアを活かして報酬の高い職場に転職したい」という方には留学後の転職がオススメです。
留学前に転職した方が良い人
留学前はリスクのあるチャレンジがし易く、ポテンシャル枠も含めて選択肢が多いので、
・ファイナンスなどの専門性の高い分野をやっていたけど、もう少し幅広い業務を経験したい。
・法律事務所でバリバリやっていたけど、ベンチャー企業のインハウスとして事業部サイドと近い距離で働きたい。
というような、キャリアチェンジをしたい人は、留学前に転職するのがオススメです。
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【弁護士の転職①】なぜ女性弁護士はみんなインハウスローヤーになるのか?
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あんまり表に出しにくい話もしているので有料(月額980円)ですが、初月無料なので興味ある人は購読してみてください。
この記事の執筆者
Lawyer’s INFO株式会社 代表取締役・弁護士 岩崎祥大
2013年12月:森・濱田松本法律事務所入所(66期)
2018年6月:かなめ総合法律事務所に移籍
2020年1月~2022年3月:UCLA留学
2022年5月:Lawyer’s INFO株式会社創業
自身がキャリアに悩んだ経験を活かし、現在は弁護士向けエージェントとして活動。